黒い十人の感想

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東京タラレバ娘

ネタバレあり。


あらすじ
己の不幸と将来の不安を肴に酒を飲む30代女子。そう、我々はまだ女子なのだ。
その自負を胸に2020年の東京オリンピック向け不可逆に進んでいく時を恐れ、今日もタラとレバをつまみに女たちは嘆く。
――我々は何故、幸せになれないのかと。

感想
頭がイカれるほど仕事が忙しくて最近は今期地上波放送ドラマを消化するのにいっぱいいっぱいだったりします。
昨日最終回を迎えたタラレバ娘でしたが、実写化ドラマ作品の最大公約数的な出来だったんじゃないでしょうか。
原作を最新刊まで読んでからドラマを見たのですが、とがりすぎている部分が綺麗に削られていた気がします。

元々東村アキコの漫画は好きでいくつか持っているのですが、最近の少女漫画家(というくくりでいいのかは微妙だけど)としてはトップレベルの倫理観のなさだと思うので実写でやったら相当エグくないかと危惧していたのですが、そのあたりきっちりコントロールされてて見ていてストレスが少なかったかなーと。
(なお倫理観がないというのは褒め言葉です。様々な描写や台詞にためらいがないから面白い)

ただ主人公たちの年齢が33歳から30歳に引き下げられのは役者の見た目的問題とは言えもったいない点だったと思います。
30歳と33歳と並べるとあまり差がないように思えますが、「東京オリンピックまでにはどうにか現状を脱出したい」というのが起点となるので……。
2020年に30歳は33歳だけど、2020年に33歳は36歳。
こうなると切迫感がイマイチ感じられない……。

あとkey役の坂口健太郎ですが、あの坂口健太郎でもあの髪型になると面白くなるんだなあ……となりました。面白コスプレお兄ちゃんやん。
雰囲気としては菅田将暉なんかが妥当なんじゃないかと思いましたが、そうなると原作の見た目からは大きく外れるしなー。
似せればキャラっぽくなるわけではないというのが実写化ドラマの難しいところころですね。
でも最初ビジュアルが出たときの主役三人も「いやこことここ逆では!?」という感じでしたが、始まってみると馴染んでたからあのあたりのキャスティングはいいさじ加減だったんだなと感じました。

原作がまだ終わってないのでドラマ自体は「私たちの戦いはまだまだ続く――!」みたいなラストでしたが、このあたりはkeyの奥さんのエピソードやドキュメンタリー映画のくだりをばっさりカットしたから当たり前と言えば当たり前なのかな。
keyは存在が漫画過ぎるので(まあ漫画なんだけど)、彼のエピソードが抑え気味だったのはよかったと思います。
そこ差をつけたおかげで原作とドラマの口当たりに変化が起きていると思うので、ドラマ→原作的な入り口になる作品になってたのではないかな。

あとドラマはkeyから倫子への好意が分かりやすく描かれていたので、あのあたりの感情の動きも上手く飲み込めましたね。
原作読んでいる時は「倫子に好意があると見せかけて何か仕掛けてくる」と思い込んでいたので……。

最初に書いたように全体的にそつなくまとまった実写化ドラマだったと思います。
エンディング曲であるPerfumeの「TOKYPO GIRL」も好きでした。
ドラマの引きの部分にバスドラが被さるの、心臓の鼓動っぽくていいですよね。
だからタラレバ娘のラストは毎話毎話印象に残ったかな。

日テレのドラマなので現在Huluで配信中のようです。