黒い十人の感想

ドラマとか映画とか

ボージャック・ホースマンとかいう虚飾にまみれた90年代のスターについて


文章が下手なのでドラマの感想を書いて練習をしよう……と思ってブログを開設したのですが、ちゃんと書こうとすると時間も掛かるし面倒くさいので、これからはあんまり考えずに書いていくことにしました。

というわけで、去年見た中で1番刺さった作品であるボージャック・ホースマンの感想を改めて書こうかと。
ネタバレありです。

ボージャックって女にはだらしないし、仕事はロクにしないし、屁理屈こねて辛いことからは逃げるしどうしようもないんですけどすっごいモテそうですよね。実際作中でもモテてますし。
昔有名だったからってのもあるかもしれないんですけど、あの手の男性って実際無職でも20代、下手したら10代の女の子バカスカ抱けると思うんですよ。
なんでかっていうとボージャックって表面上はドラッグはやるし酒浸りだしで破天荒だけど、実際は驚くほどに繊細な一面を持ってるじゃないですか。
「私しか知らないこの人の一面」にグッと来てしまう人間はたぶん男女問わずかなり多いんじゃないかな~。

登場人物の1人にプリンセス・キャロラインっていう、ボージャックのエージェント兼恋人?セフレ?みたいな微妙な関係の女性が居るんですけど、キャロラインが稼げない上に問題を起こすクライアントである彼から離れられないのもこのあたりの影響が強いのかなと思います。
彼女の場合は恋愛感情も絡んでるので余計に。


だから個人的にボージャックに対して当初全く好意を抱かなかったあの女性監督(すみません名前失念しました)が出てきた時はすごいな~と思いました。
「なんでみんながあなたを好きじゃないといけないの?」的なことボージャックに言っていたので、彼の「自分を受け入れない人にやたら近付きたがる」という習性を見抜いていたからこそ遠ざけていたのかなと思うのですが(単に彼女もボージャック並みに気難しいという可能性がなきにしもあらず)

ストーリー全体を見ていてボージャックって幸せになるのが怖いんだろうなというのは分かるのですが(自分に好意を抱く相手を遠ざけたり、深い関係になりそうになると逃げてしまう)どうしてそこまで恐れているのかがイマイチわからないな……って書いてて思ったのですが、ハーブのことが原因なんですかね。

ハーブってのはボージャックの親友で、彼がテレビ局に売り込んだ「馬鹿騒ぎ」ってシットコムの企画で主演を務めたおかげでスターになれたんですよね。
ただその後ハーブは不祥事を起こしてしまって、局と揉めることを恐れたボージャックが彼の後ろ盾になることを拒否してハーブがクビになって以来仲がこじれてずっと会ってなかったわけですけど……。

自業自得とは言え盟友とも言える存在との決別が応えたって可能性はありそう。
「傷つくくらいならもう恋なんてしない……」みたいな理由ですけど、こういうのって案外バカにできないというかそんなに珍しくない感情ですよね。
ボージャックの場合はそれがすごく極端ってだけで。

あとは幼少期ネグレクトを受けてたというのもあるのかな。
非常に攻撃的な物言いで自分をスポイルする父母の元で育ったため、自己肯定能力が極端に低い。
だからお金だとか名誉だとか、そういうもので自分を武装するしかない。
ボージャックが虚飾にまみれてしまうのは逃避行為なんでしょうね。

そういう彼の目にミスター・ピーナッツバターが眩しいものとして映るのは当然のことで、一転して嫌悪の対象になるのも納得。
ミスター・ピーナッツバターってのはボージャックと同じく90年代のスターなんですけど、とにかく前向きでポジティブで明るくていい奴なんですよね。まあ彼にも色々あるのですがそれは置いておいて。
てらいがないし、誰にでも好かれるような存在っていうのが見た目からも分かる(ゴールデンレトリバーをモデルにしているようです)ような相手が近くに居るのって、結構な脅威だと思います。
特にボージャックみたいに卑屈だけれど、それに反して多少の自信もあって、場の注目を集めたいようなタイプにとっては。

ボージャックって結局「自分を愛してくれるけど拒否してくれて、愛をくれる母親みたいな存在だけどセックスもさせてくれる」人間で満たされる世界を目指していて、ただいざそれが実現したら絶対に逃げ出すし、そもそも不可能なことも理解しているけれど根本的な問題に向き合って自分という人間を見つめるのが怖くて逃げ出してるわけですけど……この人本当にこれからどうするんだろう……50歳だぞアンタ……。

言ってしまえば「ボージャック・ホースマン」はボージャックの自分探しの軌跡なのかもしれない。
まあ他のキャラクターもまた自分の道を模索し続けているわけですが。

そういう面も鑑みて、このシリーズあと1、2シーズンくらいで終わっちゃうんじゃないかなと思いました。
シーズン4は今年の夏ということですが、再びLAを脱出したボージャックがどうなるのか気になります。

まだまだ書きたいことがあるのですが、今回の記事はこれくらいで。

ボージャック・ホースマン/BoJack Horseman

ネタバレなしです。



「ボージャック・ホースマン」 シーズン3まで配信中

あらすじ
90年代、大人気シットコムで主演をつとめたボージャック・ホースマンだったが、10年代になり立派な気難しい中年に。
ホルモンバランスの乱れなのか、それとも生来の気性なのかテキトーで頑固で屁理屈屋のボージャックの暴走は留まるところを知らず、キャリアを積むかわりにスキャンダルにまみれた日々を送っていた。
ある時、そんな彼の所へ自伝出版の話が舞い込んできて――。

感想
ネットフリックスオリジナルのブラックコメディアニメ。
序盤は50歳という大台に乗った元人気スターの「中年の危機」的な話なのですが、登場人物が増えて行くにつれそれぞれの視点からこの世界の様々な側面が見えてくる構成になっています。
といっても難しい話ではなく、8割コメディなので基本は笑いながら見られます。
ただ心に来る言葉やシーンなども多く、不意に涙が出てきてしまうシーンも……。

セリフの軽妙さや面白さはもちろん、間と表情で笑わされたり泣かされたりと、演出、脚本、演技など様々な面から見て楽しいアニメだと思います。
登場人物のタイプもかなり多いので(たいてい極端な性格をしていますが)、感情移入できるキャラクターが1人は見つかりそうな所も没入感を高めているのかな……。

非常に面白いアニメなので、シットコムなんかが好きな方は試しに1話見ていただきたいです。
Netflixでのみ配信されています。

 別途ネタバレありの感想的なもの書いてます。

殺人を無罪にする方法/How to Get Away with Murder(シーズン1)

ネタバレなしです。


「殺人を無罪にする方法」 シーズン1 全15話

あらすじ
12月のある日、ミドルトン大学では週末にあるアメフトの大会に向けて盛大な激励会が行われていた。
そんな中、ミドルトン大学のロースクールに通うウェス、ミカエラ、コナー、ローレルは死体をどうするか大学近くの森で言い争っていた。
ごく普通の大学生である彼らが何故人を殺めてしまったのか。
事件は三ヶ月前、彼らが敏腕弁護士アナリーズ・キーティングの授業で出会ったことから始まる――。

感想
スピード感が半端ない!
久しぶりにここまでアメドラという感じのアメドラを見ました。
最初の衝撃的な出だしからいきなり三ヶ月前に戻って「肝心の謎が解けるまで時間かかりそうだな……」と不安だったのですが、次から次へとよくもまあそんなに問題が起きるなというくらい色々起こるので、謎の1つや2つ解けなくても全然平気です。
とにかく飽きないです。

ドラマという媒体のサスペンスとしてはスリル山盛りでとてもいいのですが、その代わりミステリーとしてはやや飛び道具的な展開が目立つ感じに。
そういうの気にしない方なら楽しめると思います。
かくいう自分も気にしないタイプなのでかなり楽しみました。

ストーリーもジェットコースター的で非常にハイスピードで面白いのですが、個人的に登場人物のキャラクターの濃さが好きでした。
特に弁護士であり教授も務めるアナリーズ。

輝かしい実績を持つ弁護士で数々の依頼人を救った過去がある優秀な人物なのですが、職場では傲岸不遜、他人を褒めることは滅多になく、言い渡した課題がクリアできなかったら厳しく責め立てる……とかなり苛烈な性格をしています。

しかし同時に母親との確執や夫の浮気など複雑な問題を抱えており、作中で涙を見せることも珍しくない感情爆発型キャラクターです。
かなり色々な面で極端で冷淡という不思議な性格をしていて、一歩間違えれば「キャラクターとして一貫性がない」と思われそうな言動を多く取るのですが、個人的にはそこが「奥行き」に見えました。

まだシーズン1しか鑑賞していないのですが、近いうちに全て見ようと思います。
Netflixにてシーズン1のみ配信中です。

ファーゴ/Fargo(シーズン1)

ドラマの感想とかを書き留めておきたいなと思いブログを開設しました。
いつまで続くか謎ですが……。
とりあえず直近で全話見たドラマの話でも。
ネタバレなしです。


ドラマ版「ファーゴ」 シーズン1 全10話

あらすじ
ミネソタ州、ベネジーに暮らすレスター・ナイガードはうだつの上がらない保険営業マン。
朝から妻に出世はまだかと責められ、肩を落としたまま仕事に向かう。
口下手なため営業も上手くいかず客に逃げられ、その上高校時代自分をいじめていた男に絡まれてしまう。
慌てて逃げようとするが、うっかり転んで鼻を折ってしまうレスター。
治療のため訪ねた病院でローン・マルヴォと言う名の不可思議な男と出会い「いじめっ子を殺したくはないか?」と質問される。
男の纏う異様な雰囲気に気圧され、イエスともノーとも答えられないレスター。
結局明確な答えを返さずその場を去るが、その日の晩いじめっ子が何者かにより殺害されたと知らせが入り――。

感想
とりあえずざっくり感想を言うと面白かったです。
一応ジャンルはサスペンスに分類されるのかな。
衝撃的な絵も結構ありますが(グロテスクなわけではない)、その割に話自体はものすごーく淡々と進む。
それが寒い地方の閉鎖的な田舎町の雰囲気とすごくマッチしていて、静かな怖さがあったのがよかったな。
演出も結構面白いというか、派手なアクションはないのに画面をじっと見ていても飽きないです。
とはいえ全編にわたって非常にテンションがローなので合わない人はダメかもなぁ……。

しかし主人公を演じていたマーティンの情けない感じ、非常にハマってますね。
彼の出演している作品を何本か見ましたが、軒並み今作のように巻き込まれ主人公役でした。
とはいえ今作を含め、どれも情けないだけのキャラじゃ終わりませんが。

でも一番印象に残ったのはビリー・ボブ・ソーントン演じるローンかな。
ひょろっとした外見で、落ち着いた雰囲気で喋るのですが……あの威圧感はなんなんでしょう。
常人には理解できないルールで動く悪人というキャラクターはともすれば薄っぺらいというか、ご都合主義的キャラになると思うのですが、そういったこともなく……むしろ回を増すごとに「バックボーンが語られないのにキャラが濃くなって行く」という感じでした。

しかし本作、ローンをはじめみんなたとえ話が大好きで……たぶんストーリーと密接につながっているのでしょうがぼんやり見てると「えっ? 何の話??」となることが結構多かったです。
ただ、あらゆる話を100%理解しないとストーリーが分からなくなるというわけでもないので、あんまり気にせずサクサク鑑賞しました。
たぶんだけど3割くらいしか理解してない……。
逆に言えば3割しか分かってなくても楽しめるドラマなので、興味を持たれた方は是非。

現在、HuluでもNetflixでもS2まで配信しているようです。